医療法人興生会吉本整形外科・外科病院 勤務
棚田 大志さん(奈良県立奈良情報商業高校(現県立商業高校) 卒)
自己紹介をお願いします。
奈良県立奈良情報商業高校(現県立商業高校)卒業の棚田大志です。立命館大学卒業後、現在の所属である医療法人興生会吉本整形外科・外科病院に入社して現在に至ります。
今のお仕事の内容を教えてください。
医療事務の仕事ですが、ほぼ一年を通して日本代表合宿に参加しており、カヌーがメインの生活を送っています。
カヌーを始めたきっかけはなんですか?
入学した高校にカヌー部があり、水の上という非日常を味わうことができることに興味があったため入部しました。
高校在学中のことについて教えてください。
私の高校はカヌー部の部員数が少なく、3年間のほとんどを一人で練習をしていました。入学した当時は3年生の先輩が一人だけで、数人入部してきた生徒もいましたが、卒業するころには私しか残っていませんでした。休息日もほとんどなく、顧問の先生と一対一で毎日同じような練習を一人で行ってきたので、挫けそうになりましたが、競技パフォーマンスでの目標を作りそれを達成していくことで自信につながり、良い状態のモチベーションを保つことができました。
具体的にお話すると、1年の時には「11月の新人戦で2分10秒を切る」2年では「年内に1分55秒を切る」などです。少しずつ目標を高めていき、3年生で立てた目標である「日本一」の目標はインターハイでは達成することができませんでしたが、目標を立てたことで計画的に競技に取り組めた結果が準優勝であると思っています。
私の場合、目標を立てるときの基準として、頑張れば達成する確率が50%を超えるか否かをみています。そうした小さい目標を積み重ねているうちに、目標を達成したいというモチベーションと目標を達成したときの達成感の連鎖が起き、当初では大きすぎた目標も現実のものとなりました。
練習場所の環境はお世辞にも良いとは言えず、共に高めあえる部員もおらず、辛かったですが、精神的にも体力的にも大きく成長できた3年間でした。
大学在学中のことについて教えてください。
大学1年生の春先、自転車の事故で手首の骨を折ってしまい、インカレに出場することができませんでした。完治まで約3か月かかりその期間はトレーニングをすることができず、カヌーをやめてしまうか考えるほどでしたが、なんとか順調に回復し、トレーニングを再開することができました。怪我をしている期間は自分には何ができるか、怪我をしている今だからこそできることを考え行動しました。
怪我が完治してからは、猛スピードで成長し、2年生ではインカレ個人種目優勝、3年生では出場種目全制覇、4年生では日本代表に選出され、東京オリンピック予選を兼ねた世界選手権に出場しました。
この怪我がなければこれほどまでには成長していなかったかもしれません。3か月の療養期間はそれほどの、モチベーションと賢くトレーニングする力を与えてくれました。
どのようなことを考えて練習していましたか?
常に目的意識を持ち、目的と目標を区別して練習しています。すべてのトレーニングにはその目的があり、それをはっきりさせることで、目的を得るための目標も立てやすくなります。
現在、カヌーをがんばっている高校生にメッセージを。
私は大学時代の怪我をきっかけに賢くトレーニングするようになりました。この賢くというのは、「頭を使い考えて」という意味です。ただトレーニングするのと、賢くトレーニングするのでは、長い目で見たときに成長スピードが格段に違います。練習量では負けないと思っている人も、日々の練習、またはカヌー競技に対して、賢く向き合えばもう一つ上のレベルで競技ができると思います。一緒に頑張りましょう。